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鳥の年輪ならぬ「日」輪

先日12/8「鳥類の羽毛に見られる成長帯」に関するセミナーを聴講する機会を得ました。
講演者は、
Thomas C. Grubb, Jr.(オハイオ州立大学教授,東京大学客員教授)
で『野外鳥類学への招待』(樋口広芳・小山幸子訳,思索社,1989)の著者でもあります。

鳥の羽には(それが成長するときに)、日々の栄養状態が(木の年輪のように)帯となって反映され、それを成長帯というのだそうです。
一度鳥を捕まえ、(飛行に影響の少ない)羽を一枚抜く。何番目かの尾羽だという話でした。それから一ヶ月ぐらいあとにもう一度捕まえて、再生した羽の成長帯を調べることで、その間の栄養状態を把握できるというものです。

計測手法や計測結果の標準化の話に続いて、成長帯が生存率や繁殖率にどのように関係あるのかという視点の下、いくつかのケーススタディが紹介されました。雌雄の差、繁殖期と非繁殖期、優位オスとそうでない雄、preditorの存在の有無だとか、だいたいは期待を裏切らない結果を得ていたと思います。
その中で印象に残ったのは、冬の寒さの影響を、他の影響(捕食者の存在など)を排除して調べるため、ムナジロゴジュウカラ(white-breasted nuthatchと聞こえたような気がする)を何羽も捕らえて、一羽ずつ冬の温度と湿度(と多分、明るさも)をコントロールした冷蔵庫に入れて成長帯を調べるというものでした。これだと餌もコントロールできるし。
他の影響を排除するために野鳥を研究の間飼育する、-冷蔵庫群の写真を見ながら-こういう方法もあるのか、とちょっと感動し、びっくりもしました。ちなみにこの種が選ばれたのは、捕まえてもパニックで暴れることが比較的少ないからだそうです。

「海鳥の保護に興味があるのだが、(コロニーなどに)落ちている羽では何か分かりませんか」と、聞いてみました。すると、同じ部位の羽を集めること、個体の大きさも成長帯に影響するので多くの羽を長期間にわたって調べること、それから、(化学的に分析することで)環境汚染も調べられるのではないかとアドバイスいただきました。今日からでも羽を集めることを奨励します、ただし米国では落ちた羽の採集を違法とする州があるので、日本の法律は知らないが気をつけるようにとのことでした。米国ではイヌワシの羽の流通市場があり-ネイティブインディアンが祭事にイヌワシの羽を使うためなど(?)-羽採集の目的でイヌワシを撃ち落す人がいるそうです。それで、たとえ落ちている羽でも拾えば違法となる場合があるとか。

なにはともあれ、鳥に関心がある人が集まって鳥に関する話をしている、こんな状況にいられるなんてなんて幸せなんだろうと思ってしまいました。

とりとめなく長くなりましたが、言いたかったことは
■鳥の羽には日々の栄養状態が刻まれていること
こんどから羽を拾ったら、成長帯を意識しながらじっくり見てみることにします。

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